ダウンカニンガム

QR.Mさんからの質問

ロングボードに乗っています。ダウン・カニンガムのセッティングについて教えてください。

Aセイリング中にダウンテンションを自在に調整できるダウンカニンガムは、ロングボードやRS-X、テクノで使われるシステムです。特殊なシステムであるがゆえにオリジナリティーも数多くありますが、ここでは最もオーソドックスなセッティングについて解説しましょう。
ダウンカニンガムの基本システム。(a)、(b)の2つの滑車と、その間を通る「1本」のシート、そして(a)から上に伸びるマストに止めるためのシート(1)と、(b)から下に伸びるダウンシート(2)で形成されます。(a)から短く出たシートの端、もしくは(b)から短く出たシートの端を引っ張るとダウンテンションが強まり、逆に緩めるとテンションも弱まります。一般的には、力が入りやすくて引きやすいという理由で下側/(b)側をテンションを強める時に使い、手元に近くて操作しやすいという理由で上側/(a)側をテンションを緩める時に操作します。

下の写真はダウンカニンガムをセットしたところ。ロングボードのセイルを持ち合わせないので普通のレースセイルにセットしたためダウンシートが長くなってしまいましたが、実際には(b)の滑車はもう少し下側に位置するようにセットします。

上側(a)滑車。向こう側に出たシート端は金具のV時の切り口で止まります(写真では隠れています)。そのシートは、金具内部にある2つの滑車の上側を通って(b)へ続き、戻ったシートが下側の滑車を通って再び(b)へと続きます。
下側(b)滑車。(a)と同じようにシート端は金具のV時の切り口で止まり、そのシートは下側の滑車を通って(a)へ続き、戻って上側の滑車を通って再び(a)へと続きます。

(1)のシートワーク。(a)にもやい結びで止められたシートはマストにクラブヒッチのシートワークで止めます。写真では滑り落ちないようにブーム上に止めていますが、レースボードの場合、海上でコンディションに合わせてブームの高さも調整するので、これだとブームを高くできないという理由で、私は個人的にはブームの下に止めていました。ただしその場合、シートが滑ってずり下がることがあるので、マストにテープを巻くなどして滑り止めを施していました。またマストへの止め方もクラブヒッチ1重ではなく、2重に止め、さらにハーフヒッチで締め付けるなどして滑らないようにすることも必要になるでしょう。

(2)のシートワーク。(b)にもやい結びで止められたシートは、ダウンシートとしてジョイントの滑車とセイルのダウンプーリーを行き来して、最終的にジョイントのクリートに止めます。ここのシートワークはジョイントによって通し方が異なるので、行き来したシートが交差しないように(交差すると引きにくくなる)注意して自分の道具に合わせてセットしてください。また、通し終えたら軽くダウンを引いておくのですが、その場のコンディションに合わせてどの程度引いておくか、そこにもテクニックがあります。弱風なのに強めに引いておくとカニンガムを最大に緩めてもダウンが強すぎる状態になるし、強風なのに事前の引きが弱いとカニンガムを最大に引いてもダウン不足になるかもしれないからです。