ハーネスラインの基準値

QYさんからの質問

ハーネスラインの長さについて、

1)スラロームとウェイブ、フリースタイルの違い

2)身長から割り出される基本的設定値

3)腕の長さから割り出される基本的な設定値

など、さまざまな状況で値は違うと思いますが、基本的考え方(基準値)を、一般的なサンデーセイラーの視点から教えてください。

Aハーネスラインの長さは千差万別、十人十色。セイルサイズが同じなら誰でも同じかと言えばまったくそうではなく、同じブーム長なら同じかと言えばこれも不正解。例えばまったく同じ道具で、まったく同じ体格の人が同じようにスラロームしたとしても、それでもまったく長さが異なるのが当たり前なので、その基準値を示すのはとても難しいです。が、あくまで一般論として質問内容に添って考えてみましょう。

1)のスラロームとウェイブ、フリースタイルの違いは、一般的にはセイルをブレさせずに引き込み続けて「固定」するスラロームではやや短く、ウェイブやフリースタイルのようにセイルを固定せずに動き続けるときは、かけ外しが容易ということも含めてやや長く、です。

2)の身長からはラインの長さは導き出せません。なぜなら同じ身長でも体格は異なり、特に腕の長さ(リーチの長さ)が異なるから。そうした意味でも、ラインの長さに最も影響するのは3)だと言えるでしょう。では腕の長さからどう割り出せば良いのか?

下の写真はごく一般的なセイリング場面。黄色線で示したように、ハーネスラインの長さがほぼ肘から先の長さ(ブームまで)にイコールしているのがわかると思います。これより長いとラインが弛んでハーネスワークが不完全になる可能性があり、これより短いと腰が浮いて乗りにくくなる可能性があるということです。

また、ハーネスをかけるときも外すときも肘を曲げて(体をブームに近づけて)行います。これらのことから、肘から先の長さがセイリングにも、かけ外しにも大きく影響することが伺えます。

ということは、ラインの長さは肘から先の長さにほぼ等しいのが良さそうだとわかるでしょう。具体的には、ラインに肘をかけ、ブームを握ってちょうどを基準値にするのが良いでしょう。

肘をラインにかけてブームを握る。ラインがピンと張って丁度ブームを握れるのが基準値(初期値)。これを基本にあとは楽しみ方やレベルでアレンジを。

基準値から、スラロームのようにセイルを固定して走るならやや短く、ウェイブやフリースタイルのように絶えずかけ外ししてアクションするならやや長く調整します。この長短調整幅は、ラインの長さで10cm以内、写真のように肘をラインにかけて計るならコブシひとつぶんの長さが目安となると思います。

スラロームのようにセイルを引き込んだまま固定して走るとき(フリーライドのプレーニング指向も同じ)は、基準よりもコブシひとつ分くらい短めに。

ウェイブやフリースタイルのようにラインのかけ外しが頻繁で、セイリング中もセイルを動かすような場合は、基準値よりもコブシひとつ分くらい長めに。

ちなみに、私の場合は、スラロームでは左下の写真よりもさらにコブシひとつ分短く、またウェイブでは左下の写真の長さが好みです。