マストベンドカーブ

QT.Hさんからの質問

09年のナッシュ490cm(100%)とセイルとのマッチングに関して。03年ガストラのナイトロ9.3をセットすると、カムの返りは問題ありませんが一番上のカムが少し浮いてガタツキます。またフォイルも少し浅いように感じます。09年マウイセイルTR5の8.4をセットすると、上から2番目と4番目のカムが硬くて返らず、カムを変えてどうにか返るようになりましたがローテイトはキツく、フォイルも深いです。

Aこのコーナーでも過去幾度となく解説しているように、指定マスト以外のマストを使う場合、多少の支障や妥協は覚悟するしかありません。すべきは、「ベストじゃないのはわかっているけど、少しでも状態が良くなるようにチューニングすること」と「その組み合わせのリスクを知って、そのつもりで使うこと」です。

まずナイトロに関して。カムの浮きは無視しましょう。フォイルが少し浅いのも仕方ないのでしょう。もしフォイルを少し深くしたいのなら(それは同時にカムの浮き上がりを改善する方法でもありますが)、ダウンを少し緩めにセットするしかありません。もちろん緩めすぎはいけませんが、緩めすぎない範囲で出来るだけフォイルが深くできるチューニングを探します。実際にそれがどの程度のダウンテンションで、またその際の的確なアウトテンションがどの程度であるかは、実際にそれをセットしてみないとわかりません。

フォイルが浅いということは単純にアンダーの性能が低下していると考えられます。ということはダウンを緩めることでその失われたアンダー性能を取り戻せる可能性もあるということです。ただしそれは裏返すとオーバー域の性能が低下するリスクを含むことを覚悟しなければなりません。

尚、フォイルの浅さが妥協範囲で、カムの浮き上がりだけが気になるとするならば、カムにスペーサーを噛ませれば問題解決すると思います。

マウイセイルに関しては、ナイトロとは逆に、ダウンを強め、アウトを引くことでどうにかカムを浮き上がらせるしかないように思います。このチューニングによってフォイルは浅くなりますが、現在のフォイルが深いとのことなので、もしかしたらちょうど良い加減のフォイル形成ができるかもしれません。もちろんこれもまたナイトロ同様に推測の域での話です。

セイルは、柔らかいマストを使うほどドラフトが浅く、硬いマストを使うほどドラフトが深くなります。ということは、そのマストはナイトロには柔らかく、TR5には硬いと判断できます。こうしたベンドカーブとドラフトの相関関係から、上記したような推測が生まれることを覚えておけば、チューニングを探る際のヒントになるでしょう。