ノーカムセイルのローテイト

QT.Iさんからの質問

初めてのノーカムセイルについて初歩的な質問です。ダウンを規定通り引いても一番下のバテンがマストに引っかかってしまいますが、これはダウン不足ということでしょうか?それともノーカムセイルとは、バテンとマストが接しても良いのですか?感覚的には接しているとセイルかマスト側かどちらかを痛めてしまうような気がするのですが?

A結論から言えば、ノーカムの一番下(もしくは2番目)のバテンエンドは、マストと接します。ダウン不足だと余計にそれは起こりますが、正しくセッティングしても必ずしも解消できるというものではありません。もちろんそれはセイルを痛めてしまいますが、多くのノーカムセイルはそうしたデザインで出来ているので仕方ないのです。

では、なぜそうしたデザインなのか?そのあたりを考えてみましょう。そこには「RAF」というデザインがあります。よく、ノーカムセイルを別名ラフセイルと呼びますが、その「ラフ」はこのデザイン名のことで「ローテイト・アシンメトリカル・フォイル」の略です。ローテイトとはセイルが「返る」こと。このデザインは18年ほど前にニールが世界に先駆けて発表したコンセプトです。

RAFデザインの基本知識

上のイラストは風を右から受けたときと、左から受けたとき(ローテイトしたとき)の比較と風の流れ。RAFセイルでは、風上側にはマストの乱流が発生するものの、風下側のフォルムは整えられているために風がスムーズに流れる。そしてバテンがマストを回り込むように「ローテイト」することで、ポートでもスタボーでもその効果を得ることができる。

しかし、もしバテンがローテイトしないとしたら、下のイラストのように風下側にも風上側にも乱流が発生してしまい、その乱流の分だけセイルのコントロール性やスピード性能が低下してしまう。これがポートでもスタボーでも起きる。

ただし、こうしてバテン先端がマストを擦りながら左右にローテイトしていると、将来的にセイルのバテン先端部が擦れて穴が開いてバテンが飛び出します。そうしてリペアに持ち込まれることは非常に多いパターンなのです。ちなみに、特にそのトラブルが多いのはガストラ(一部)とアローズ、特に少ないのはノースですが、これは激しく擦れながらローテイトするか(スリーブ細目)、ソフトにローテイトするか(スリーブ太め)というデザイン上の違いにあります。

また、マストの種類や太さにも影響を受けます。もしスキニーなどの細いマストを使ったとしたら、スリーブに余裕ができる分だけ太いマストよりもローテイトがスムーズになり、バテン先端が擦れることも少なくなります。逆に推奨マストよりも太いタイプのものを使っていたり、セイルにマッチングしない硬さのマストを使っていたりすると擦れはより激しく、より短期間でトラブルに陥ることになるでしょう。

最後に、もし今のままのマストとセイルの組み合わせでバテンとマストの擦れを少なくしたいなら、アウトを若干強めに引くことをお勧めします。それで接し方が少し解消されます。