ドライスーツの保管

QS.Bさんからの質問

ドライスーツの正しいメンテナンス、保管方法について教えてください。昨秋、横ファスナーのドライスーツを新調しましたが、縦ファスナーのものよりも弱そうで不安です。特にハンガーにかけるときにファスナーを開けておくべきか閉めるべきか、そのあたりも含めて教えてください。

Aドライスーツに関してはハイウインド03年1月号のEQでレポートしていますが、今一度その内容をまとめておきましょう。

長持ちさせるコツは、表面ラバー(ゴム)の劣化を防ぐことと、ファスナーの劣化を防ぐことにあります。

ドライスーツは、その大部分が表面ゴムです。最近のゴムは柔軟性に優れ、着脱やセイリング時に動きやすいなどのメリットが多大ですが、その反面で傷つきやすく、耐久性という面ではごわごわしたゴムほどではありません。なのでまずは、着脱時に爪を引っかけて表面を傷つけないように注意しましょう。もし爪で傷つけてしまったら、放置して傷が広がる前に、ショップで購入可能なウェットボンドで修理です。その方法は、傷の両面にボンドを薄く塗り、指でさわってベタベタしないまで乾いてからしっかりと圧着します。ベタベタの状態で接着してもくっつかないので注意してください。

熱いお湯で洗わないことも大切です。あまり熱いお湯で洗うと表面ゴム面だけでなく、各パーツを接着している接着剤も劣化する恐れがあるので、水か、熱すぎないお湯で洗ってください。もちろん言うまでもなく洗濯機で洗うなどは問題外です。

ファスナーで注意すべきは、折り曲げないこと。特に着脱時、無造作に踏みつけながら脱ぐと、ファスナー部が折れた上を踏みつけてしまいます。するとファスナーの噛み合わせが正常でなくなる場合があるので、踏みつけることなく注意して脱ぎましょう。これは少し面倒で、特に寒い屋外で脱ぐときはどうしても雑になりがちですが、注意すればそれだけウェットが長持ちすることを覚えておきましょう。

保管に関しては、裏返しではなくゴム面を表にして、大きなハンガーにかけて日陰で保管します。濡れているうちは内側を乾かすために裏返しで干すでしょうが、長期保管の場合、ゴム面が内側だとゴム同士、特にロゴマークのステッカーとゴムが貼りつくことがあるので注意してください。また針金のような細いハンガーだと、それと当たる肩の部分だけ伸びる可能性が高いので、なるべく太いハンガーを使います。その際、ファスナー部が曲がっていると変な癖がつく可能性があるので、ファスナーは閉めておいた方が良いでしょう。特に横ファスナーの場合、もしハンガーでの保管に不安があるなら、軽く3つ折りくらいにして保管します。ただし、強く折り目がつくことのないように、絶対に上に物を置かないでください。

あとは、首のベルクロ部などが裏地にくっつかないように注意することも、長持ちさせる上で大切。今のドライスーツは、内側が起毛素材ですが、この毛にベルクロがくっつくと毛そのものが痛みます。特に最高級の起毛は内部がストロー状になっているので、ベルクロをくっつけることでその内部空洞が潰れたりします。ベルクロを幾度も使っていると接着度が鈍くなりますが、それと同じ現象が起きてしまうわけです。