ロフトセイルSWITCHBLADE

QS.Nさんからの質問

2014年の新古LOFTSAIL SWITCHBLADE7.3の購入を考えています。初めて使うメーカーなので使用感及びセッティング方法等教えてください。ちなみにマストは2012年頃のパワーレックスSDM460(カーボン80)です。

Aご存知かもしれませんが、私自身、現在スイッチブレードを使用しています。長期に渡って、雑誌のテスト等も含めて数々のメーカーのセイルを使う機会に恵まれていた2012年頃、それまではサポートという形で供給されていたセイルメーカーから、年齢的にも今後は自分が心底気に入ったセイルを使いたいという気持ちになり、4ヶ月程度の時間をかけてプライベートに数々のメーカーのセイルを自分なりに検証し、その結果として選んだのがロフトセイルでした。

ロフトセイルには頂点モデルのレーシングブレードがあります。対してスイッチブレードは俗に言うところのセカンドレースセイルであり、しかしセッティングが容易であったり使い心地が優しかったりと、プロ仕様の頂点モデルには無い「日常の」使いやすさがあります。そこに大きな魅力を感じて、私自身、今もスイッチブレードを使い続けています。

そんな私がスイッチブレードを選んだ「性能的な」理由をひとつだけ述べよ、と問われれば、その答えは「引き込みアングルの安定」。特にガスティーなコンディションでブローが途切れる(ブローホールに入る)その瞬間、セイルの引き込みアングルを自らが繊細に操作しなくても、ただ引き込み続けるというただひとつの動作だけで、あとはセイルが自動的に風の強弱に反応してスピードを持続してくれるところ。多くのセイルはブローの途切れ目で、セイルを少し開き、風を取り直すことでパワーを再起動し、そこから再び的確なアングルまでセイルを引き込み直すという作業が必要な場面で、ただセイルをそれまでよりもわずかに強く引き込むだけですべてを一度に完結できるという「簡単さ」に魅力を感じたからです。

そうしてスイッチブレードを選んだ当時、それに決める過程の数ヶ月の間に、まさしく質問にある7.3というサイズで数々のマストを試してみました。SDMの100、80、75、50、30。RDMの100、75。すべてのメーカーのマストを試すのはさすがに無理でしたが、可能な範囲でそれはもうさまざま試してみました。その結果は、個人的見解として、スイッチブレードはマストを選ばないというものでした。それもまたこのセイルを選ぶ理由のひとつになったわけですが、どのマストを使っても(個々に異なるチューニングはもちろん必要ですが)選り好みせずに「張る」ことができました。それまでの個人的常識からすれば、カーボン100を推奨するセイルにカーボン30のマストでは「張る」ことさえ困難だったのに、それさえも許容する性能に驚いたことを今も覚えています。残念ながら質問者のパワーレックスSDM460(カーボン80)では試したことがありませんが、そうした個人的テスト結果を元に推測するならば、そのマストが他に対してとても太いなどの(同じパワーレックスでも年式によって異なるでしょうから明確にお答え出来ませんが)明らかで且つ大きな違いが無い限り、マストが合わなくてどうしようもない、ということはないだろうと推測します。

とは言え、マストが異なればチューニングも異なるのが当たり前。スイッチブレードは、SDMなら75%くらい、RDMなら100%でセットした時、記載のラフやブーム長の数値が正しくなります。しかしそれよりも硬いマストだと(SDM100%の場合)記載数値よりもラフもブームも引けなく(数値が小さく)なり、それよりも柔らかいマストだと数値が大きく、すなわちダウンもアウトも「もっと引く」必要に迫られます。

そうした理由において、質問者の手持ちであるパワーレックスSDM460(カーボン80)ならば、たぶん記載数値に限りなく近い数値でセッティング可能でしょう。もし誤差があるとしても、ダウンでプラス2センチ、アウトもプラス2センチの範囲内と思われます。そうした誤差を考慮して幾度も乗る中で色々と試しながらチューニングを煮詰めたなら、たぶん推奨マストを使ったときと同等な性能を引き出せるだろうと推測します。

唯一注意すべき点は、アウトは上の穴を使うということ。スイッチブレードのアウトホールは上下2穴で、多くの上下2穴のセイルの場合「下のアウトホールを使う」のが鉄則ですが、スイッチブレードに関しては上のアウトホールを使うこと。

通常アウトホールは、上だとリーチがタイトにパワフルになるからそれは体格の大きなセイラーに、通常は下のアウトホールを使ってリーチをルーズにパワーの取り逃がしがラクになるから日本人など小柄なセイラー向け、となるところですが、このセイルに関しては下のアウトホールを使うと「ブームエンドが低く感じて乗りにくい」「アンダーでは風が取り込みにくくて走り出しにくい」「オーバーではパワーが残って風の強さに対処しにくい」と体格にかかわらず悪い事尽くめ。せっかくのセイル性能を打ち消してしまわないためには、アウトホールは「上」が鉄則であることをお忘れなく、です。