カムのセッティング新旧

QM.Tさんからの質問

20年ぶりにウインドを再開しました。以前使っていたセイルは、リーチ側のベルトとバックルでバテンにテンションをかけるシステムで、セッティングの際に都度テンションを緩めたりできました。そのためセッティング時には容易にバテンテンションを一度緩めておいて、マストをカムに噛ませて通し、最後にバテンテンションをかける、という手順でセットしていました。でも、最近のセイルはそれが容易でなく、特にニールのバテンはバックルで固定したらそのまま。そうした最近のセイルに古いマストを使う場合、カムを避けてスリーブにマストを通してからのセッティングしか方法が無いのでしょうか。

A新旧のカムセイルを比べると、昔のセイル(と言ってもそれは本当に20年以上前の話ですが)は、そのほとんどがカムを「先付け」。でも今のセイルはカムを「後付け」が常識。先付けとは、マストを通す際にすべてのカムにマストを「噛ませた」状態で通して行くやり方。後付けとは、カムを外してマストを通し、ブームを付けてアウトテンションを少しかけてからカムをマストに噛むように押し入れるというやり方。

特に今のセイルに古いマストを使う場合は、マストがそのセイルが求めるものよりも太い場合が多いという理由で(古いマストは今のマストよりも太いのが通例)、先付けしようにも「全然通って行かない」もしくは「途中でカムが外れちゃう」ことも多々あります。さらにはバテンテンションがかかったまま先付けすると、バテンの先端が大きく曲がるため、バテン先端部が折れてしまうなどの弊害もあります。たしかに昔のバテンテンションシステムならテンションを緩めておくことでそうしたトラブルを回避できましたが、今のセイルにそれは当てはまりません。

ニールのバックルシステムもテンションを都度緩めることは可能です。学生の使うテクノでは多くの学生が都度バックルを解除してテンションを緩め、そうして質問者が昔していたようにマストを通している人がほどんど。質問者も彼ら学生と同じように都度バックルを緩めれば昔のセイル同様にセッティングできると思われますが、私的にはそれはお勧めしません。なぜなら、都度バテンテンションを緩めるとセイルがダメージを受けるから。バテンテンションを緩めることで、特にバテンの上下に隣接するパネルにシワが出来て、そうして透明なモノフィルムに一度出来てしまったシワは生涯消えること無く、その後そのシワからフィルムに折れができて最終的に切れてしまいます。学生の多くがこうしてセイルの耐用年数を著しく短命に終わらせるという現実があるからです。それは(キツい言い方ですが)まさしく無知なる結果。

質問者がそうした知識不足によってせっかく手にしたセイルを短命に終わらせないためには、昔とは異なる「後付け」のセッティングを日常としてマスターすべきでしょう。その基本は、ダウンを引かず、アウトだけ引いて、横方向にテンションをかけておいてカムを押し入れる、ですが、その具体的な方法に関しては過去に幾度か解説しているので、過去歴を見返して拾い読みしてみてください。