らくぼうくん

QS.Nさんからの質問

強烈なダウンテンションが必要なスラロームセイルで「らくぼうくん」を使っていますが、最後の一巻きで頻繁にシートが切れてしまいます。シート種類を変えてみたり、太いものを使ったりしていますが、セッティングの度に苦労しています。みなさんどうしているのでしょうか。

Aまず、今のレース系セイルは、ごく一部の例外を除いて、以前よりもダウンテンションが楽になっています。そのため多くの人たちは「らくぼうくん」などのダウン引き器具を使わなくても、人力で引いています。とは言え、やはり強いダウンを引くのは厄介。特に腰に不安を抱える人は器具に頼りたい場面もあるでしょう。

ダウンシートの標準は4ミリ径。その径の、さらに新品のシートで引いてももし容易に切れてしまうようならば、そこには3つの原因が考えられると思います。

ひとつは使用する「らくぼうくん」のシート通し穴の「バリ」。穴付近に「バリ」があるとそれが鋭利な刃物のような影響を及ぼす場合。引っぱり強度に強い今のシートも、鋭利な突起に対しては簡単に切れてしまう場合があるので、使用する「らくぼうくん」の通し穴に指を滑らせて「バリ」が無いことを確認し、もし指先で「バリ」が確認できたとしたら、その部分をヤスリで削って「バリ取り」しましょう。

あとの2つは、単純な考え方として「シートが切れてしまうほど強烈なダウンテンションがかかっている」事実の原因究明。そのひとつは、必要以上のダウンテンション。セイルに記載されるダウンテンション(LUFFで数値表記)は目安でしかなく、もしその目安が必要以上の数値であった場合、それは引き過ぎを意味し、そのためテンション過多でシートが耐えられない場合。これは目視による正しいダウンテンションを見つけ出すことで改善されるでしょう。

もうひとつが不必要なテンションがかかってしまう場合。例えばセッティング途中(ダウンを中途まで引いた状態など)でカムの歪みを修整しないと(スリーブのファスナーを開けて中に手を入れて上方にネジ曲がったカムを押してマストと垂直に押し治す)、カムが摩擦抵抗となって必要以上にダウンテンションを強めてしまうし、またアウトを適度に引かずにダウンだけを引いても、やはり同じようにカムに摩擦抵抗がかかって必要以上のダウンテンションを感じます。これらの場合はいずれもセイルの破損(スリーブ内部、セイルのリーディングエッジ部分が断裂するなど)にもつながる要因でもあります。

「らくぼうくん」はダウン引き器具の定番。そのシステム自体に問題があるとしたら、それを使う人などいるはずもないので、器具本体ではなく、ここに記したような付属要因に問題解決の糸口があるように思います。