フィンのサイズ選択

QY.Hさんからの質問

08年のi-SONIC122にデボシR16の44cmでフィンが抜けることは無かったのですが、12年のi-SONIC177WIDEに替えたら、特にウネリを飛び越えたあとや下りでよく抜けるようになりました。しかし某ショップのHPでは117Wには44cmで調子良いとあり、このまま練習すべきか46cmくらいのフィンに代えるべきか悩んでいます。また、フィンはフィンボックスのあたりのテイル幅くらいのものを使うのが良いとも言われていますが、その理由も教えてください。

Aテイルのグリップはフィンだけに頼られるのではなく、テイルセクションのエッジも大きく作用します。しかし「エッジを効かせる」には、板のキープフラットが必須。キープフラットとはボトム面を水面と平行に保つ技術のことで、それを習得するにはそれ相応の練習が必要で、その領域に達していない多くの人は少なからずアンヒール状態に陥ります。アンヒールすると風下側エッジが水面から浮き上がるためエッジの効きが弱まり、結果としてグリップをフィンに頼らざるを得ず、そのため「出来る」前者よりも少し大きめのフィンを欲する傾向になります。

スラロームを競技限定で考えると、その走る向きはほぼアビームからダウンウインド。上ることもあるでしょうが、延々と上るということはなく、しかも風はプレーニング限定。そのためスラローム=競技とする人にとっては、この風域と走行領域において「抜けなければ」良いわけです。さらには短い方が低抵抗で速さが期待できるので、抜けない限界の小さなサイズが「善し」となります。しかしスラロームをスピード指向のセイリングと定義する多くの人たちは、時として長々とクローズを走ることもあるでしょう。この場面で前者と同じフィンを使っていたら、きっと抜けやすく感じるはず。なので前者よりもより広範囲への走行を期待するなら、少し大きめのフィンが「善し」となるはずです。

また、板を3本持っている人は、超アンダーや超オーバーでまで無理して乗り続けません。しかし1本しか板を持っていなければ、そうした状況でも頑張って乗り続けることもあるでしょう。そしてもちろん、限界領域ではフィンが抜けやすくなります。すなわち、日常の使い方であったり、道具的な事情であったりで選択するフィンサイズにも違いが生じる可能性があるということです。

これらを総合して考えると、他の人が「そのサイズでベスト」だとしても、質問者が「抜ける」と感じるなら素直にサイズ変更を考えるべきでしょう。その場合は、たぶんワンサイズ大きな46cmで正解です。

ただし質問者の場合、ウネリを飛び越えたあとや下りでよく抜けるとのことなので、抜ける原因がアンヒールに伴う技術面にありそうに思えます。なので手持ちの44cmもキープしておいた方が良いと思います。なぜなら、今後の練習とスキルアップによって、今夏を過ぎる頃には44cmがベストと感じられるようになっていることも十分に考えられるからです。

もうひとつの質問である「フィンはフィンボックスのあたりのテイル幅くらいのものを使うのが良いとも言われている」とのことに関して。

これは基本中の基本として正しいです。もしその板のフィンサイズがまったくわからず、初見でサイズを決めなければならないとしたら、フィンボックスの前縁あたりのテイル幅を計り、ほぼそれと同じ長さのフィンを選びます。

なぜなら、テイル幅を横軸、フィンサイズを縦軸とした場合、これで縦横の比が等しくなってバランスが取れるから。それ以上にフィンが長いと、長くなった縦軸の分だけ増したパワーを横軸が支え切れず、それは吹いたときの激しい板のヒールに伴う乗りにくさなどとして表面化します。逆に(フィンが小さく)縦軸が短すぎるとスピンアウトの原因です。

これは、ボリュームにも最大幅にも関係ありません。同じボリュームの板でもテイル幅が異なればフィンサイズも異なり、最大幅に大きな違いがあってもテイル幅が同じならフィンサイズも同じ、ということです。ただしこれはあくまで基本であり目安。冒頭に記したようにグリップはフィンとテイルによって行われるので、テイルの形状などによってもフィンサイズは異なるし、すでに説明したように技量や使用状況にも影響されるので、必ずしもテイル幅と同じフィンサイズがベストとは限りません。