順手・逆手

QK.Kさんからの質問

ブームの逆手持ちについてメリット・デメリットを教えてください。普段、マスト手を順手で持っているのですが、逆手で乗ると高速プレーニング時に調子よく感じます。しかし反面、逆手だと肘が伸び気味になるようでマスト加重が減る気がします。逆手を積極的に取り入れるべきなのか悩んでいます。

A順手、逆手のどちらが良いか?は諸説あるようです。そこで、普段順手で乗る私的見解としてここでは説明しておきたいと思います。

まずマスト加重について。質問には、逆手だと肘が伸び気味になるとありますが、実際に肘を曲げる作業を考えれば、順手よりも逆手の方がやりやすいはず。シミュレーションとして、腕を肩の高さに前に伸ばして(ブームを引き寄せるような感じで脇を締めて)肘を曲げてみてください。手が体に近づくほど、順手だと手首が曲がって腕にストレスがかかりますが、逆手だとそうしたことはありません。すなわち「肘を曲げることでマスト加重をかける」という動作に関しては、順手よりも逆手の方が簡単だということがわかります。マスト加重がかけにくく思えるのは、単に逆手に慣れていないから、と考えるべきでしょう。

合わせて、逆手の方が肘が伸びる気がするというのは、言い換えればマストを立てやすいということです。実際にレースボード(IMCOなど)では、逆手にして、さらにブームを指先だけに引っかけるようにすることで極限までマストを立てようと努力します。すなわち逆手の方がマストを立てやすい分だけスピードを高められる可能性があるのです。

また、逆手の方が、ベアなどの動作がより大胆に行える可能性もあります。特にビギナーの人たちに言えることですが、逆手の方がマストを押しだしやすい分だけベア動作が楽。これはビギナーセイラーを教える者にとっての常識となっています。

ここまでをまとめると、ベアなどの基本動作とスピードに関しては順手よりも逆手の方にメリットがある、といえます。しかし逆手の場合、たとえばジャイブにおいては、逆手から順手に持ち替えて行わなければならないなどのデメリットもあります。逆手のままジャイブができる人もいますが、こうした小さなデメリットを嫌って順手を推奨する人がいることも事実です。

こうした理由で、私的には順手よりも逆手を推奨します。では、なぜ私がいまだに順手なのか?順手と逆手では、腕の使う筋肉が違います。専門的にはわかりませんが、経験上では順手が腕の外側の筋肉を主に使うのに対して、逆手だと内側の筋肉を使いように感じます。長年順手で乗り慣れてしまった私としては、逆手の方が良いとわかっていても、筋力的な問題でいまだに順手のままなのです。なので、もし質問者がまだトレーニング途上であるならば、逆手にしてそれに必要な筋力をトレーニングすることをお勧めします。

最後に、ここに記したのはスラロームなどのスピード系ウインドを主眼にしています。というのは、ウェイブの場合、順手の方が細かいセイルトリムがやりやすくてメリットが高いと推奨する人も多いからです。私自身も、絶えずジャイブをしているようなアクション続きのウェイブでは、順手の方が良いと思います。