プレーニングフォーム

QT.Hさんからの質問

最近、練習の甲斐あってかセイルのフットが後ろストラップをまたぐまで引き込めるようになりました。でも、それでも上級者と比べるとスピードの伸びが足りなく思えます。自分なりに研究したところ、上級者のフォームに対して自分のそれは「肩が閉じているのでは?」と気付きました。実際に自分のフォームの画像を見ると、上級者の肩位置が進行方向に少し「開いて」見れるのに対して自分の肩はブームと平行。だからと肩を開くように乗ってみたら、今度はせっかくの引き込みが台無しでセイルが開いてしまいました。ハーネスを少し後ろに下げれば肩が開くように乗れると思いますが、正解がどこにあるのか見失っています。

A肩が開くとか閉じるという表現がよくわらかず、そのため「肩が閉じて見える」という質問内にある画像を拝見したいと思って質問者に直接メールしたのですが、残念ながら届かなかったらしく戻って来てしまいました。なので「たぶん、こうだろう」との推測で回答させて頂きます。

セイルが引き込めているのに肩が閉じて感じる。その一番の原因は「前肩に力が入りすぎているから」と考えられます。例えばオーバーセイルでは前肩に力を込めてマスト加重します。それを画像で見るなら、前肩は「閉じて」「ブームと平行」に映ります。それと同じような状況なのでは?と推測できるということです。

対して上級者は、アンダーからジャストな風の中なら最速で走っていてもリラックス。前腕は指先から肘、さらには肩にかけて筋肉が脱力に近い状態にあり、ゆえに肩関節はグッと伸び、それが「肩が開いて」いると見えるのではないでしょうか。

「質問者の前腕は力が入っている」対して「上級者の前腕はリラックス」。その違いが前肩の開きというビジュアルに反映しているとするなら、その解決方法が見えてきます。

幾つか考えられる解決方法の中で一番影響あると考えられるのは、質問者が気付いたようにハーネスラインのセッティング。

質問者はハーネスラインを後ろに下げたら肩が開くと考えているようですが、たぶんそれは逆効果でしょう。現在、質問者はセイルのフットが後ろストラップをまたぐだけ引き込めています。ということは引き込むという動作=ブームエンドを引く動作=ハーネスラインが前過ぎない証拠。にもかかわらずそれ以上後ろにするというのは、後ろ過ぎになる可能性大。そしてハーネスラインが後ろ過ぎると、マストが風下に引っ張られる力が強すぎて、それを支えるべく前腕は、「ブームの前を握ってしまう」「肩に力が入って前腕が縮こまる」になってしまいます。もしかしたらすでにその状態に陥っているからこそ、今まさに肩が閉じているのかもしれません。

ハーネスラインの取り付け位置を、前後共に1センチ前にしてみましょう。もしそれで今の引き込みが難しくなるようなら(引き込みにくくなるようなら)、ラインの取り付け後ろ側は今の位置のまま、前だけ1センチ前へ。その場合、ハーネスラインの取り付け幅が広くなり、ラインが少し短くなったと感じられるでしょうが、そこは当面あまり気にせずに。さらに、もしハーネスラインの取り付け前後とも1センチ前にして(ラインが全体的に1センチ前に移動するということ)、それでも引き込みが保てて、でも相変わらず前肩が閉じるとしたら、さらに1センチ前へと順次試してみましょう。その行程の中で、今よりも前肩がリラックスして乗れて、しかも引き込みも楽々という箇所が見つかる可能性は高いと思います。

さらに追加として、ラインが長過ぎる可能性も捨てきれません。そこで、まずは前記したライン位置を色々試し、「なんとなくこのあたりが良さそうだけど、それでもまだ前肩が閉じている」としたら、アジャスタブルハーネスラインを使ってラインを徐々に短く調整して様子を見ます。長過ぎるハーネスラインはそれに頼り切れないため前腕の力に頼らざるを得ず、そのためラインが後ろ過ぎるのと同様に「前腕の脱力」が得られないからです。