ショートボードクローズ

QT.Sさんからの質問

295に7.5のセットだとそれなりにできるのですが、265のフリーライドボードに6.7ノーカムセイルだと、どうしても上手く上れません。セイルを開いて上ると雑誌で解説されているときもありますが、それもよく理解できません。上手に上るコツを教えてください。

Aクローズが上手にできない理由は幾つかあります。質問者のセイリングを実際に見たことがないので、その中のどれに該当するのか不明ですが、ここではその中から代表的なものをピックアップして、上手に上るためのコツについて解説しておきましょう。

セイルの引き込みが不十分な場合。質問にあるようにセイルを少し開いて、というのは風が弱いときの話です。プレーニングで上るには、セイルが引き込まれているのが絶対条件。ただし、そのときただ引き込めば良いというものではありません。一般的にセイルを引き込もうとすると、ブームエンドを引き寄せるのにつられてマストも手前に引き寄せてしまいます。そうではなくて、この場合のセイルを引き込むとは、マストを体から遠ざけてブームエンドを引き寄せる動作。そのためには胸が真横を向くように(横乗り状態)、ようするに、前肩を風下に押し出すように、後ろの脇腹でハーネスを引くように意識してみましょう。

胸がボードと平行を向いた「横乗り」でセイルが引き込まれた状態。ここでアビームと同じように乗ると、もっと胸が進行方向に「開いた」状態で、前肩を手前に引っ張ってしまう(マストがもっと風上に倒れてしまう)。それだとどんなにセイルを引き込もうと努力しても、ブームが胸につっかえて引き込めない。

重心位置が後ろの場合。アビームと同じ重心位置だとクローズは走れません。クローズを走るには、アビームよりも重心位置をノーズに近づける必要があるのです。これを実現するのがマスト過重なわけですが、このマスト加重がフォーリング的にわかりづらいなら、ブームを握る前の手の真横に自分の頭が位置するように意識してみてください。そのとき頭が前肩の上に乗ったような状態になると思います。その状態を、自分がアビームを走っているときの頭の位置と比較すると、明らかに頭が前に移動しているのに気づくでしょう。これでクローズに必要なマスト加重と重心位置が確保できると思います。

もう一つのコツとして、後ろ足をストラップから抜いてスタンスを狭くして上ってみるのも良いアイデアです。後ろ足がストラップに入っているとスタンスが広く(両足を開いた状態)、どうしても重心が後ろ足寄りになりがちになりますが、後ろ足を抜いて乗ると自然と重心が前足に近づきます。これによってクローズに必要なノーズ寄りの重心位置が簡単に確保できるでしょう。そうしてクローズを走るフィーリングを身につけるというのも、練習としては非常に有効です。

質問者の場合、295センチのボードだとそれなりにできるけど265センチのボードになると上手にできないということなので、たぶんまだクローズセイリングそのものに安定感が無いのだと思います。これからのサーマルが吹く季節を利用して、295のボードで(それの方が練習しやすい)、まずは上の3つを試してみてください。これらがしっかりと理解できれば、265のボードでも同じように上れると思います。