連載コラム


ジャイブについて

いつもとは少し違った視点から考えてみるpart4

もう一度確認しておこう。当ジャイブ解説は、アビームからアビームまで180度ターンすることを前提として話を進めている。その前提の上で、セクション1ではベアという行為でターンのおよそ1/4を終え、そこからのジャイブ本番の踏み込みで一気に2/4をターンした。でもまだ仕上げの1/4が残っている。

セクション3

セクション1では、体を起こすなどの追加の動作は必要だとしても、まだレイルを「踏まず」にベアしただけだった。セクション2で、初めてジャイブのレイルプレッシャー。セクション1を元手に大胆に内傾してのレイルプレッシャーだった。しかしまだジャイブは合計して3/4しか完成していない。

セクション2までは、まぁそこそこ出来る人も多い。それでもジャイブの完成度が低いのは、残りの1/4であるセクション3の善し悪しにある。セクション3はまさしくジャイブの最終局面、車で言えばカーブの出口付近。どんなにそこまでのハンドルさばきが良くても、最後でハンドルを切りすぎたりしたら全てが台無し。逆に、途中で多少のミスをしても、ここでつじつま合わせが出来れば「終わりよければすべて良し」だ。

下の白黒写真はセクション2の最終場面。1回目のレイルプレッシャーが途切れかけていて、すなわちターンが終わりかけている。

次の場面がその下のカラーの写真。上下の写真を見比べてほしい。上の白黒写真よりも下の写真の方が、板の傾きがわずかながらも追加されたことがわかるだろうか。(それはノーズが少し上がったことからも見てとれる)

セクション1からセクション2までが程良くできたとしても、セクション2の最終場面でターンは終わる。するとそのあと、板はフラットに戻ろうとしてそれ以上は曲がらず、でももうちょっと(残り1/4)のターンが必要だから、足をステップして、セイルを返す動作に頼って残りの1/4を回そうとする。でもそこはすでにスローダウンしたあとの場面になるから、セイルを「よっこらせ」と回す力で残りの回転不足を補填したり、でもそれだと回りすぎてラフしてしまったり、となる。さらにはセイルを大きく振り回しすぎて、セイルに自分が振り回されてしまうことも。これが俗に言うところの「セイル返しが上手に出来ない」という悩みにもなる。

こうしたセイル返しで悩む人の多くは、その原因を突き詰めれば、この最後の1/4の場面でターンが途切れることに原因がある。ここでターンが継続できていれば、そうした悩みはほぼ解消されるのだ。

ジャイブの最終局面、足をステップする場面。ステップするときに「もう一度」「後ろ足で強くプレッシャーをかける」これが大切。それすなわち、2回目のレイルプレッシャー。

後ろ足でレイルを「グイッ」ともう一度踏み込む。そのとき「テイルをターンの弧の外側に押し出すような意識」で。そしてその反動でステップ(足の入れ替え)。セクション2の終わりの場面でただステップするのが普通だが、ステップする序章として後ろ足でもう一度レイルを踏み込むというワンアクションの追加。上のカラー写真はまさしくその場面。後ろ足で2回目のレイルプレッシャーをかけて、それを合図に今まさに足を入れ替えようとしている場面だ。

プロの動画を見ると、よくターンの後半で「ターンが伸びて」見えることがある。その後半の伸びは、まさしくこの動作による。ターンが終わりかけた場面で、もう一度レイルを踏み直す(三分割の3つめ)ことで、本来止まりかけるはずの板がもう一度、ギュインと再加速するのである。

そして下の写真。2回目のレイルプレッシャーを終えていよいよセイル返しへと入るところ。2回目のレイルプレッシャーをしてもなお、この場面ではレイルの傾きが終わって、すなわちターンが終了したことが見てわかるが、それでもなお板の傾きは多少なりとも残せている。こうして板の傾きが最後までキープできることが、ジャイブというターンを滑らかに完結するための重要な要素であることは言うまでもないことだ。

セクション1では呼吸を整えてベア。セクション2で息を止めるように強烈なプレッシャー。そしてセクション2の終わり場面で一度息継ぎして、そしてもう一度プレッシャー。スーッと下って、グイッと押してギュインとターン。そしてもう一度「グイッと押し直して」もう一度ギュインと曲がりながら、その反動で「ステップ」。擬音ばかりで申し訳ないが、イメージとしてはこんな感じになる。

「踏まない」「踏む」「もう一回踏む」。この三分割に焦点を当てた今回のジャイブ解説だが、もちろんそれ以外にも、ターン中のセイルの位置や引き込み加減、レイルプレッシャーをかけるときの後ろ足の位置や、ステップ後の足位置、さらにはそれぞれの場面でのスタンスなど、多くの要素がジャイブの完成には密接にかかわってくることは言うまでもない。そうした他要素があるとしても、まずはジャイブというターンを一連の流れと捉え、その流れを塞き止めないためには?という視点から、「踏まない」「踏む」「もう一回踏む」という3つの行為はとても大切だと確信する。セイルを引き込むとか開くとかは後付けでかまわないから、まずはここに掲載した内容を試してみてほしい。ちなみに上級者の動画をこの三分割の視点から見直したなら、必ず誰もがそうしていることに気付くはずだ。