連載コラム


セイルセッティングpart5

リーチテンションその1

アウトのチューニングを終えたら、ブームエンドからセイルトップに向けてのリーチと、弛んだトップリーチまでのバテンエンドの位置を見てみよう。アウトが適正に引けていれば、ブームエンドからリーチに至るバテンエンドの位置は、下の写真の青点とそれを結ぶ青線のように、ブームエンドから徐々に下に垂れ下がって見えるはずだ。

この時、もし赤点と赤線のように、黄色矢印で示したあたり(ブームの上1本もしくは2本目のバテンエンド)が垂れ下がって見えたとしたら、ツイストが不完全になる可能性がある。風を受けたときに垂れた黄色矢印部分のリーチが大きく開くため、それに引っ張られてトップリーチの開きが不完全になるからだ。これは極端なアウト不足を示すので、青線のように見えるまでアウトを追加する必要がある。

リーチテンションその2

例えばウェイブセイル。アウト緩めでボトムターンをしたら、バックハンドパワーが重すぎて、セイルが開かされ気味になりマストが倒しにくかったとする。当然このときは、セイルが閉じやすく且つマストが倒しやすいように、少しアウトを引くことになるだろう。

Photo by Tamotsu Takiguchi

しかしこのとき、リーチテンションに変化が現れることを忘れると大変なことになる。

アウトを引くと、それに引っ張られてリーチのダラダラが少なくなり、リーチがタイトに(張りがある状態に)なる。するとリーチの開きが阻害されてツイストが不完全になり、アウトを引く以前は感じることの無かったセイルの不安定感が発生してしまうかもしれないのだ。

これはウェイブに限らず、プレーニング系のセイルでも起こる。アウトを引いたらリーチがタイトになる。この関係は不変だ。そして、タイトになったリーチを開きやすくするために、ダウンを少しだけ追加する必要が生じる。

こうした相互関係を見誤ってセッティングすると、思いがけずの落とし穴にはまる可能性があることを忘れずに、である。