デッキコンケーブ

QBさんからの質問

スラロームボードのデッキコンケーブについて。2010年頃から各社ジョイントベース付近にへこみがあるようになりました。実際に乗るとその影響と思える要因として、スピードを出しても板が安定して感じたのですが、デッキコンケーブのメリットとデメリットを教えてください。

Aジョイントボックスの前あたりからノーズにかけてデッキ面が「掘られたように」「へこんで」いるデッキコンケーブ。その効力として3つが考えられます。

ひとつはデッキを掘ったことでノーズボリュームを少なくできるということ。プレーニングへと加速する際には必要なノーズボリュームですが、一度プレーニングへと入ってしまうとそれは時として邪魔者になります。加速するほどに、それまで加速の手助けをしてくれていたノーズの浮力が「浮き上がりすぎて」(ノーズが大きく感じて)、特にオーバーブローで「舞い上がる」という現象。デッキコンケーブによってノーズのサイズ(横幅や長さ)を変えることなくボリューム(浮力)だけを削り落とすことで、その現象が改善されるだろう期待は高いです。ただし、静止時もまたノーズの浮力が少なくなるため、特にタックにおいては「ノーズが沈んで」厄介というデメリットも発生します。

次にレイル形状。下のイラストを見比べてみてください(お粗末なイラストですがご容赦を)。上はデッキが膨らんだ板、下はデッキコンケーブでデッキ面がへこんだ板です。ジョイントからノーズ先端までがまったく同じ横幅、長さ、厚さ、ボリュームだと仮定して想像してください。

比較するとデッキ中央が膨らんだものはレイルが薄く、デッキコンケーブのものはレイルが厚く(デザイン上)なるだろう必然がわかるでしょうか。この違いは加速時、特にジャイブ(マーキング)からの立ち上がり時に大きな違いを生み出します。デッキ面が膨らんでレイルの薄いタイプは、失速してノーズが沈みかけた際に、薄いレイルを乗り越えてデッキ面まで水が侵入してしまいます。そうして水との接点が増えることで加速が抑制されてしまいますが、レイルが高く設定できればレイルが壁となってデッキ面への水の侵入を防ぐことができます。その分だけ、加速の促進が期待できるということです。

最後がデッキ面に発生する揚力。ウインドにはリーウェイという現象があります。リーウェイとは、レールの上を走る電車のように真直進するのではなく、ウインドという乗り物は絶えず風に流されながら、わずかですが風下に流されながら走る現象のこと。

そのため実際には、板にはイラストのように斜め風下から進行風が当たります。これを上で登場した断面図で見てみると、下の2つのイラストのようになります。

デッキ面が膨らんだ板の場合、斜め横から当たる風は膨らんだデッキ面を通過する際に上向きの揚力を生みます。これはセイルの、ドラフトが膨らんだ側が引っ張られるのと同じ現象で、結果ノーズは上方向に引っ張られます。それが何を意味するかと言えば、ノーズを舞い上げる向きに絶えず力が作用するということ。

対してデッキコンケーブにはそれとは逆の、下向きに抑えつける力が作用します。

こうして同じノーズボリュームでありながら、片一方は上向きに引っ張られ、片一方は下向きに押さえつけられるという違いが生じます。もちろん、レーシングカーがそうであるように(相応に)下向きに抑えつける力があった方がスピードが出しやすいだろうことは言うまでも無いでしょう。

デッキコンケーブにはこれら3つの要素が考えられますが、最も身近なところだと、その中の1番目で示したデメリットである「タックの難しさ」をして、板を買い替える際にデッキコンケーブの「掘りの深い」ものを敬遠する人がいるのも事実。

それもあってなのか、以前ほど今の板のデッキコンケーブは深くありません。

板のデザインはロッカーやアウトライン、ボリューム配分やレイル形状、さらには素材による硬度など、さまざまな要素が複雑に絡んで作られています。その中にあってデッキコンケーブはひとつのデザインに過ぎず、なのでデッキコンケーブが無い板はダメというような結論も導き出せないし、デッキコンケーブの板はどれもタックが厄介だと言い切ることもできません。また、最近の板が以前ほどデッキコンケーブが深くないのが、前出の「タックが厄介だから敬遠」という声を反映してのことなのかもわかりませんが、これまで幾度か過去歴で触れてきたデッキコンケーブに関する「まとめ」としては、こうした回答が現時点での情報です。