スターボードFLARE

QS1さんからの質問

スターボードのFRARE91(2015モデル)の中古購入を考えています。フリースタイルの練習はもちろんですが、チョッピーな海で波に乗れる練習もできればと考えています。先日、彩湖の平水面で試乗させてもらったのですが、浮力が足りなく感じてなかなか走り出せませんでした。ショップの方によると「最初はみんなそう言うけど必ず慣れる」とのこと。使用セイルは5.6、体重62キロで、現在の手持ちボードはスターのATOM99です。

A質問内容を読み解くと、質問者は板に3つの異なる性能を求めていると思われます。ひとつはフリースタイル。二つ目が平水面での加速能力、三つ目が波乗り性能。ひとつめのフリースタイルと二つ目の加速能力はリンクする部分があると思いますが、三つ目の波乗り性能はそれらとは相容れないと思います。なぜならフリースタイルは「水と剥離する」、言い換えるなら水面上をスライドしたりするため水から離れることが必要で、対して波乗りはレイルを水に絶えず接し、水を切り裂くなど「水と馴染む」ことだから。それは白と黒ほども両極端に位置するもので、それを1本の板に求めるのは難しそうに思います。

とは言え、質問者が3要素をどのような割合で考えているかによっても行き先が違ってくるので、それぞれの要素について考えてみましょう。

フリースタイルについて私はさほど詳しくありません。さまざまなトリックが出来るわけでもなく(いいとこバルカン程度のレベル)、日常的にフリースタイルを練習もしていないので、「この人に聞けば間違いなし」の現フリースタイルチャンプである小林ゆーまプロに聞いてみました。

「体重62キロ、セイルサイズ5.6で91リッターは標準。本栖湖だろうが海だろうがフリースタイルを主眼に置くなら板はそのサイズ。」すなわちフリースタイルを練習し、上達を目指すならば検討中の板は正解と言うお墨付きを頂きました。

彩湖という平水面で乗って浮力不足、加速不足に感じたのには2つの原因があるでしょう。ひとつは現在使用中の99リッターとの浮力差。小さいのだからその分だけ加速が劣って当然。もうひとつがフィンのサイズ。フリースタイルのフィンはとても小さく、そのためグリップが弱くて加速が衰えるという原因です。

ゆーまプロ曰く「もし91リッターという浮力にどうしても不安があるならその上のサイズ(現行モデルなら103リッター)にすべきです」。

そして、もうひとつの加速力不足を感じる要因としてのフィンサイズに関しては、「たぶんフィンサイズは(標準で)17もしくは18センチ。それはATOMと比べて相当に小さいはずで、そのためフィングリップが弱く、だから加速しにくいと考えられます」「ボリュームはどうにもできませんが、フィンサイズは変更できます。もし22〜23センチのフィンを付けたなら、フィンサイズが小さくグリップ不足による加速力減の感覚は、たぶん(ある程度のレベルで)カバーできるでしょう」「さらに、そのフィンがフリースタイルフィンであれば、フィンサイズが少し大きくなるとは言え、フリースタイルの練習に影響は少ないと思います」。すなわち、もう1枚フィンを手元に置き、純粋にフリースタイルを練習する時は小さなフィンで、平水面やチョッピーな海面での加速力不足を補いたいなら大きなフィンで、と使い分けることで、質問者の悩みを相当部分で解消できる可能性が高いということです。

波乗り性能に関しては、単純比較としてFRAREよりも現手持ちのATOMの方が良いでしょう。FRAREがまったく波乗り無理というワケではありませんが、水と馴染みやすいことを考えればATOMに軍配が上がることは明らかです。

もし質問者が「フリースタイルもやってみたいけど、あくまでメインは加速と波乗り性能」と考えるなら、選ぶべきはフリースタイルボードではなく、フリースタイルウェイブやフリーウェイブになると思います。ちなみにフリースタイルウェイブとはフリースタイルとウェイブの両方ができる板という意味ではなく(名前的にそのように勘違いする人も少なくない)、自由なスタイルで走りとウェイブが楽しめる板という意味で、フリースタイルボードのような高度なトリックまでを期待するとちょっと肩すかしされかねませんが、それでもトリックの入り口は覗けるはずです。

手持ちのATOMを生かして、さらにFRAREを追加するという考えもあります。平水面での加速と波のある海ではATOMで、フリースタイルの練習に没頭する時はFRAREという使い分け。いずれにしても質問者は「ウインドで何を一番に楽しみたいか?」を明確にし、そこに可能な範囲で「どんな楽しみを付け加えたいか?」を再考証する必要があるかもしれません。現在「すべてのウインドの楽しみを、すべて満たす」板は存在せず、自分の嗜好に合わせて自分なりに選ぶしかないのですから、まずは自分の一番が何で、二番が何で、と再検証し、その上で選択を最終決断するしかないと思われます。