ダウンの楽なレースセイル

QS.Nさんからの質問

2011年のレースセイルを使っていますが、54歳という年齢的にもダウンを引くのがキビしく、ダウンテンションの楽なセイルを探しています。最近のセイルはダウンが楽と聞きましたが、8バテン以上のレースセイルでも楽に引けるのでしょうか。

Aメーカーごとセイルごとに違いはありますが、たしかに昔と比べて今のレースセイルのダウンは楽と言えます。しかしそれでも各ブランド最上級のトップレースセイルのダウンがキツいことに変わりはありません。ダウン引き器具が必須だったのが、腕の力で楽々と引けるようになったというような大きな違いはありません。(プロ級にダウンを引き慣れている人なら異なる感覚、すなわち相当に引きやすくなったと感じている人がいるかもしれません。)

ただしセカンドレースセイルに関しては別。相当楽に引けるようになったと言っても過言ではないでしょう。実際に私も、メーカーは異なりますが2011年当時はダウンを引くのに苦慮していました。セカンドレースセイルなのに人力で引こうとして腰を痛めた苦い経験もあります。しかし今はダウンに「もやい」を作り、ハーネスフックを引っ掛けて腕の力だけで楽に引けています。勢い余って引きすぎて緩めることさえあるくらいです。

質問者の言う8バテン以上のセイルがトップレースセイルを示すのか、もしくはセカンドレースセイルも含まれるのかは、各メーカごとバテン数に違いがあるので明確ではありませんが、ひとつ言えるのは、ダウンも含めて楽なものを探しているならトップレースセイルはやめておいた方が良いだろうと言うことです。そもそもトップレースセイルは、国内であればジャパンサーキットや、アマチュアレベルでも大会のスペシャルクラスで上位を狙う本格派レーサー限定と考えるべきです。以前も記したことですが、以前世界的に著名なセイルデザイナーが「なぜ日本人は無理してトップレースセイルを選ぶのか?」と疑問を投げかけていました。トップレースセイルはただひたすらに速さを求めたセイルであるため、ジャイブで沈したあとのセイルアップが重いなどの嘆きへの優しさも対処も考慮されていません。そのセイルを使う人はコケない前提なのだから当然。にもかかわらず背伸びしてまでそれを選ぶ人が日本人に多いことが彼は疑問でならなかったのです。

そう考えれば(私もその中の一人ですが)無理してトップレースセイルを手にするのは身分不相応で(それはスピードを出す場面さえ皆無なのに300キロのスピードが出ますよの言葉につられてスーパーカーを手にするようなもの)、ただただ自己顕示欲による欲求と言わざるを得ません。それよりも現実的なのは(現実的に週末のスピード中心のウインドを楽しむには)、ひとつ下のグレードのセカンドレースセイルに目を向けるべきだと個人的には思いを寄せています。今のセカンドレースセイルは、適材適所でそれに合致する人が使えば、無理して最上級セイルを使うよりも速く走れたりもするのですから、その考え方は間違っていないと思います。

昨年モデルだが私が個人的に愛用するロフトセイルのセカンドレースセイル「スイッチブレード」。ダウンが楽で、使用感も楽。さらには取り回しも軽快。その利点が、無理して背伸びしてトップレースセイルを使う人達よりも私を速く走らせてくれもする。背伸びしすぎは百害あって一利無し。身の丈に合った道具の選択はウインドを楽しむ上で重要だということ。

話が脱線しましたが、質問者の望むダウンの楽なレースセイルは、俗に言うセカンドレースセイルという名前で確かに存在します。