リスタートの道具選択

QM.Mさんからの質問

10年ぶりのウインドを考えています。板とセイルを揃えたいのですが、お勧めのセットを教えてください。10年前はミストラルVISION130とガストラGTXの7.5を使用。当時は毎年夏休みに仲間とカナハまで足を伸ばしてジャイブの練習に明け暮れていました。今は50歳。身長178センチ、体重は10年前よりも10キロほど成長して85キロに到達。トップスピードよりもプレーニング率が高い方が希望で、またあまり大きなサイズは年齢に伴うパワー不足が不安です。

Aまず10年前に使っていた道具を検証してみましょう。

ミストラルのVISIONは最新ボードへと成長するひとつ前の時代の板。トップスピードよりも直進加速性能とプレーニング性能に主眼があり、丸く盛り上がったデッキで多少足場の悪さはあったものの、静止バランス性能も抜群でした。

当時のGTXはたぶん2カム。セイル全体がモノフィルム構造であったこともあり、プレーニング且つ最高速に視点があったセイルです。

これらを考え合わせると、当時の質問者は、板で安定を得、セイルの性能でプレーニング且つスピード性能を得ていたと考えられます。ではそれを現代に当てはめて考えてみましょう。

板で静止バランスを得るのは今の板ならどれでも容易。広い横幅とフラットなデッキ面が乗り手のバランスと足場を安定させるため、10年前と比較するとワンサイズ(10リッターくらい)小さいサイズでも同じバランス感が保てます。とは言え当時よりも体格的に成長したことを考え合わせるなら、当時と同程度の130リッターくらいがプラスマイナスゼロで適当と思えます。当時よりも板のバランス性能は向上したけど、体重が重くなった分のサポートを板に委ねたい。その駆け引きの中で選ぶべき板は130リッターを少し上回るくらいが良いだろうということです。

そこにプレーニング率の向上を重ね合わせて考えるなら、直進性に少し難ある流行の板よりも、オーソドックスなタイプの板が良さそうに思われます。その筆頭は、たぶんスターボードならフツラ、JPならX-CITEライドかスーパースポーツ、タブーならロケットあたりになるでしょう。回転性も重視する流行のマルチボード、例えばスターならアトムであったり、タブーならロケットワイドあたりは、たぶん直進性能と言う面から考えて選択度外視した方が良さそうです。

セイルに関しては、懸念材料である体力の衰えを考慮するのが良さそうです。特にセイルアップ。セイリング中は難無く扱えるサイズでも、セイルアップとなるとセイルの大きさが(歳と共に)腰に響きます。強風になれば尚更。そこで、プレーニング率が高く、且つ体への負担が少ない(軽い)セイルとして、ノーカムセイルがお勧めになります。昔のノーカムは、GTXなどのカムセイルと比べると大きくドラフト安定感が乏しかったため、プレーニングに入ると重々しく感じ、操作も大変でした。しかし今のノーカムは当時の2カムセイルに匹敵するドラフト安定感を持ちます。しかも軽量で。そうしたノーカムの中の当時と同サイズ(7,5近辺)がお勧めになると思います。もし尻込みして小さいサイズを使ったとしたら加速の鈍さにイライラが募るだろうし、その半面で体力の衰えはノーカム特有の操作性の高さと軽さがカバーしてくれると思えるからです。

そうしたノーカムの中で人気と思えるのは、速さと軽さの両面を備えた、ガストラのサベージかマトリックス(プレーニング後のドラフト安定感を考えるならバテン数の多いサベージ)、セバーンのNCX、ロフトセイルのオキシゲン、そしてイジーのチーターあたりでしょうか。他にも性能的に候補のノーカムセイルはありますが、中には正しいセッティングができないと破損しやすいなどのものもあるので、そうしたことも考慮するとこれらが無難に思われます。

これらの組み合わせで得られる利点は以下のとおり。セイルアップなどの静止バランスは、体重増加分も含めて板が十二分にサポート。それはジャイブ後半で失速したような場面でも同じ。失敗を沈に直結させずに持ちこたえてくれることでしょう。ブローを受けて加速するときは、板が直進性を確約して加速を助け、加えてセイル性能が加速を促進、昔以上に速い段階でのプレーニングへと導いてくれるはず。加速後は板の直進性能が益々乗り手を最高速へと導き、同時にセイル性能が加速にさらなる加速を積み重ねてくれます。それほどのトップスピードが必要無ければ、余力を余してパワーを抜けば、それでもなお相応のスピードが楽しめ、且つ余力の分だけ余裕あるプレーニングが楽しめることでしょう。

最後に、ここに登場した板やセイルたちは、私がこれまで間近で目にしたり、実際に使用した道具たち。だからこそ間違い無く推薦できるということです。間近に見る機会が無く、使う機会が無かった板やセイルの中には、同様にお勧めできるものもあると思いますが、それらについては情報不足ゆえに記すことができないことをご了承下さい。