セミドライ

QT.Aさんからの質問

ウェットスーツ(セミドライ)の耐用年数はどのくらいでしょうか。私的には4シーズンくらいと考えていますが、「道具よりもウェットにこそ金をかけるべき」と2シーズンを待たずに買い替える知人もいます。また、購入の際はやはりフルオーダーすべきでしょうか。店主の「大きめの方が暖かさが持続するし長持ちする」との言葉を信じて「吊るし」の大きめを購入したことがありますが、水の侵入が多くてイマイチ。でも2年目以降はジャストサイズよりも長持ちしている気もします。

A質問者が考える通り、今のウェットスーツ、特にセミドライ等の片面スキン(表面がゴムで裏面がジャージ)のタイプは、4年が目安になるでしょう。昔のスキン(ゴム)は伸縮性に乏しくゴワゴワと硬い半面で「一生モノ」と思えるほど長持ちしました。でも今のスキンは伸縮性に富み、着脱がしやすくセイリング中のストレスも無い代わりに素材的な劣化が早く、耐用年数も相応になったのだろうと思います。使用頻度やメンテナンス状況にもよりますが、おおよそ3年を過ぎた頃から表面が切れやすくなり、4年を過ぎると「ちょっとツメが引っかかった」だけで切れてしまったりもします。またウェットを形成するそれぞれのパーツの縫い合わせ箇所が「開き」、都度ウェットボンドでの補強が必要にもなるでしょう。そして5年が過ぎると、気をつけてるのに「着る度にどこかが切れる」状態になります。そうした経緯の中では、やはり4年がひとつの「そろそろ買い替え時期」の目安になるでしょう。

前記したように現在のウェット素材は、「伸縮性に富む半面で耐用年数が短い」と言えます。一昔前の「伸縮性に乏しいけど耐用年数は長い」素材のときは「伸縮性」という部分を重視して、自分にジャストフィットするものが必須でした。これがフルオーダー。伸縮性に乏しいがために少しでも体にフィットしていないと大きなストレスになったのです。それは高価格であっても、耐用年数が長いから「元を取れた」と言えます。

私自身のことを言うなら、ここ数年は「吊るし」を着ています。ブレーカーアウトがスポンサードしてくれているのですが、吊るしのLサイズで何等問題無いから。なぜ問題が無いかと言うと、そこはやはり素材の伸縮性の向上。素材が適材適所で伸びることで体にフィットしてくれるので、多少キツい部分があるとしてもセイリング中のストレスにならないからです。このように「吊るし」を購入する場合は(ストレスを感じない範囲で)「わずかにキツめ」を選びます。理由は「どうせ素材が伸びてくれるから」です。

ウェットの暖かさは素材と肌との密着にあります。たとえばダブダブに緩いと素材と肌との間に空間ができて体温による保温性能が低下します(冷たい空気や水がその空間に流れ込むから)。なので質問内にある店主コメント「大きめの方が暖かさが持続する」は大間違い。ただし大きめで緩ければ着脱時に生地に「引っぱり」ストレスがかからないので長持ちするのは当たり前。でもこれは本末転倒なご意見でしょう。

まとめると、セミドライの耐用年数は4年程度というのは正解。フルオーダーは必ずしも必須ではなく、今は「吊るし」でも十分。とは言えもちろんフルオーダーできるならその方が良いに決まってるので、あとは財布の中身との相談。

最後に吊るし購入の際の注意点をひとつ。ウェットには手首足首の処理に2つの方法があります。ひとつは生地を「折り返して縫ってある」タイプ、ひとつは「切りっぱなし」と呼ばれる折り返しも首周りの縫いも無いタイプ。セミドライの場合は切りっぱなしが多いと思いますが、両者には、切りっぱなしの方が素材の特性そのままに伸縮性が保たれ、縫いタイプは折り返した分だけ伸びず、縫った分だけさらに伸びにくいという違いがあります。もしあなたが吊るしのウェットを試着したとして、全体的に何等問題無いフィット感と思えるのに、手首や足首だけが(特に着脱時に)キツいと感じるなら、どちらのタイプかを確認してみましょう。そしてもし切りっぱなしでないとしたら、購入後に折り返しと縫ってある部分(手足首周りからおおよそ1センチくらい)をチョキンと大胆に切ってしまうのも良いアイデアです。そうすれば素材本来の伸縮性が表面化して着脱しやすく、さらにセイリング時のキツさも解消されるから。ただしそのままだと(袖を筒にして縫ってある)糸がほつれてくるので、そこをウェットボンドでしっかり固定することを忘れずに、です。