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Q:J.Fさんからの質問 以前からすべてニールのレースセイルを使ってスラロームをしています。自分的には満足しているのですが、エキスパートの方から「ニールは硬いから、柔らかいセイルに変えたら良いのに」と薦められました。この「セイルの硬さ」とはどういう意味なのでしょうか。アマチュアレベルの場合、柔らかいセイルの方が扱いやすいのでしょうか。またそこにマストのグレードも関係してくるのでしょうか。当方、失速しながらもジャイブがどうにかできるレベルで身長170cm、体重57kgです。 |
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A:セイルが硬いとか柔らかいという表現は、雑誌や日常会話で頻繁に出る言葉です。が、硬さと柔らかさの境目には明確な線引きがありません。その表現は、漠然としたものです。 例えばあるセイルは、使ってみると硬く感じます。でもメーカーは柔らかいと言う。その食い違いの理由を明瞭にするのは無理。なぜならそこには、もし自分が今まで使っていたセイルよりも柔らかく感じればそのセイルは柔らかく、硬く感じればそのセイルは硬いといった主観的なことなどさまざまな要素が含まれるからです。 それでも尚、幾つかの指針を以下に記しておきます。ただし、これは漠然としたものをまとめようとする作業なので、あくまで参考のひとつと理解した上で読み進めてください。 そもそも硬いとか柔らかいとはどういうことでしょう。硬いとは、セイルのパネル面の「面テンション」が強いということ。対して柔らかいとは、面テンションが弱いことです。しかし面テンションが弱いセイルは、腰が弱く、強風にフォイルが崩れてしまうため、セイルとして成り立ちません。ということは、実際には柔らかいセイルは存在しないということです。 では、柔らかいという本意は何か。それは「ソフト」という意味です。ここで言うソフトとは、柔らかいという単純な訳ではなく、穏やかであるとか、優しいというニュアンスも含みます。そしてソフトとは「しなやか」という表現とほぼ同意語。例えばオーバーブローを受けたとき、セイルがしなやかに反応してくれることで、ブローを「ガツン」と感じさせず優しく伝達してくれるとした場合、セイル本来の反応を「しなやか」と表現し、そこから派生した優しさという感覚をソフトと表現します。これをもって雑誌などでは「このセイルは『ソフト』で『しなやか』」などと表現されるわけです。 最新のセイルは、どれも「しなやかに」反応します。セイルは近年、「しなやかさ」を求めて進化してきたのだから当然のこと。ということは、基本的に今のセイルはどれもソフトだということです。その中であえて比較した場合に、面テンションが強めのものを硬いセイル、弱めのものを柔らかい=ソフトなセイルと称するに過ぎません。 さらに詳しく紐解いてみましょう。硬いセイル=面テンションが強いセイル、には2つあります。ひとつはダウンテンションが強い、もうひとつは多くのバテンでひとつひとつのパネルが小さく「コマ割り」されている、です。 ダウンテンションはセッティングによって異なり、同じセイルでもテンションを強めれば硬く、弱めれば柔らかくなります。さらに、アウトテンションを強めても面テンションは強くセイルは硬くなります。よくあることですが、エキスパートの人が推奨するセッティングでは、特にオーバー時に技量的に乗りこなせず、それに対処すべく少しダウンを引いて、さらにアウトを強めに引いたためにセイルが硬くなるという例。それは、エキスパートの人にはソフトなセイルでも、自分のセッティングだと硬くなる、という現象も有り得るということです。 単純にバテンの数が多ければ硬いかと言えばそうとも限りません。どのセイルも形が異なりラフ長も異なりバテンレイアウトも異なるのですから、バテンが多い=パネルのコマ割りが小さい、とは限らないから。いずれにしても、どのセイルが硬くてどのセイルが柔らかいのか判断するのがとても難しいことだとわかっていただけるでしょう。 さらに事を複雑にする要素が幾つかあります。そのひとつが素材。X166(ナッシュ)やテクノーラ(セバーンやイジー)といった素材や、同じ透明フィルムでも他よりも薄いものを多く使う(ガストラなど)ことでセイルのしなやかさは増長され、ソフトに感じられるようになります。 カーボン含有率が高いマストほどセイルにテンションを与えるので、カーボン100%よりも75%を使った方がソフトに感じられます。ただしこの場合のソフトさは「しなやかさ」と必ずしも合致しないので注意。100%推奨のセイルに75%を使えば確かにソフトにはなるけれども、多くの場合それは度を超して腰の弱さに繋がるというのも忘れてはなりません。 SDMよりもRDMの方がソフトだというのもあります。そのためメーカーのよっては、よりセイルをソフトに使うためにRDM対応となっているのもあります(ナッシュやロフトセイルなど)。これは、強めのダウンテンションで面テンションを高めながらも「しやなかさ」を追加する要素として効果があるようです。またRDMを使った方が軽く感じるため、それをして「ソフトなセイル(=この場合は軽いセイル)の方がアマチュア向き」と言えないこともありません。 同じメーカーでも、最新モデルであるほど「しなやか」なので、ソフトに感じられることでしょう。ニールで言えば、RS6よりもRS RACINGやRS SLALOMの直近モデルの方が、セバーンならCODEREDよりもREFLEXの方が柔らかいと表現されることに何等不思議は無いということです。 硬さとかソフトさを表現したり比較する要素は他にも沢山あります。そうした要素を考え合わせた上で質問に戻ると、硬いとか柔らかいという表現に惑わされない方が良いだろうということ。また、アマチュアだから柔らかいセイルの方が良いという決まり事も存在しないので、今のセイルに満足しているのにセイルを乗り換える必要も無いだろうということです。 ただし、最新バージョンであるほどしなやかで高性能であることは事実なので、同じニールで型式を新しくしたなら、よりしなやかでソフトに、優しく感じられるでしょう。また、あえて質問者の体格を考慮するとしたら、やや軽量級であるという理由で、よりセイルに優しさや軽さといった要素を加味するのは良い選択かもしれません。その場合、ターゲットになるのはRDM対応のセイルです。 |
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