I-SONIC vs FUTURAの選択

QMさんからの質問

95〜100リッターの走り系の板を検討中です。周囲に多いのは圧倒的にI-SONICですが、値段的に手が届きにくく、中古もなかなか見つかりません。比べて同社のFUTURAは価格的に手頃ですが、周囲に乗っている人がいないので情報がありません。当方、レイルジャイブが相応にできるレベルと自覚してますが、レースやGPSでの最速記録などには興味が無く、トップスピード重視というよりも、ガスティーやアンダーなコンディションでも優しく乗れる板を希望しています。現在、MANTA110リッターを持っているため探しているのは、ほぼ6,2m2専用で使うことを想定しての2本目。こうした状況において、I-SONICにすべきかFUTURAにすべきか悩んでいます。

A回答から先に言うならば、FUTURAが良いと思います。

カタログ的な表現をするなら「I-SONICは人と競って半歩でも前を行く最速を求める人のための板。対するFUTURAは、I-SONICの最速部分を少しだけ削り落とし、その分をタックのしやすさやセイルアップ時などのバランス性能に振り分けた乗り手に優しい板」となるでしょう。

話が逸れますが私のホームゲレンデである湘南逗子の風。夏のサーマル南風はオンショアで冬の季節風である北風はオフショア。この冬のオフショアが鬼門で、板を選ぶ際の大きな検討要素になります。沖はバンバンに吹いていても岸際の風は弱く、しかも超ガスティーで超シフティー。沖は吹いてるのに手前の風無しエリアを上って岸まで辿り着くには、小マメなタックが必要になります。その場面で、寒い冬の冷たい海にタックの都度コケちゃうような板だったとしたら。それはもうテンション下がって海に出るのさえイヤになる。そうした理由において逗子では(みんながそうではありませんが)、吹いてる沖でどんなに調子良くても、帰り道のタックでイライラする板は敬遠され気味。

質問者の体格がわかりませんが、前出の逗子を例えるなら、体重50キロ台の人でさえ該当ボリュームのI-SONICだとタックに難しさを感じるはず。ましてや質問者が60キロを越えるような体格だとしたら、I-SONICには「タックでコケるの気にしません」の心構えが必要。もちろんI-SONICを手にする人達は、とにかく走って人より速ければ良いのだから、「タックでコケるのがイヤ」なんて考えないでしょうが。対するFUTURAは、そうした乗り手の不安をサポートしてくれます。「難しいけどそこは技術でカバーしてね」と突き放すのではなく、「ちゃんとサポートするから安心して使ってね」との主張。

こうした板ごとの主張の違いをデザイン面から検証してみましょう(質問者のレベルなら今更の説明だと思います)。同じ100リッターだとした場合、最速を求める板と、優しさを持つ板とでは、そのボリューム配分に違いがあります。最速を求める板はテイルにボリュームが集中し、ジョイントから前のノーズセクションのボリュームは少ない。これはノーズボリュームを削ることでノーズが風で舞い上がることを防ぎ、テイルにボリュームを集約させることで加速力を高めるため。対する優しさを持つ板のボリュームは分散されています。すなわち削ったテイルボリュームをノーズに振り分けている。簡単に言うならI-SONICはテイルだけ厚くてノーズは「薄っぺら」、FUTURAはノーズからテイルまで均一な厚さ(実際はこれほど簡単に表現できませんが)。

こうしてノーズからテイルまでまんべんなく配分されたFUTURAのボリュームは、I-SONICほどの加速力は無く、またノーズが少し舞い上がりやすくなるというデメリットを持ちながらも、反面ではタックがしやすく、走れない中風域でもバランスが良くて乗りやすい(扱いやすい)というメリットを持つと言えます。

世の中にデメリット皆無でメリットだけの板は存在しません。なので自分なりにどこにメリットを見出すかが板選びの際の最重要な指針になります。どこにメリットを感じるかは乗り手次第なので、板選びでは自分が何を望んでいるかを明確にした上で、自分の短所や苦手なところをしっかりとサポートしてくれる板を選ぶことが重要。そうした視点から考えて、個人的意見としては質問者が選ぶべきはFUTURAが良いだろうと思いました。

ただし、ここまでのことはごく基本的なこと。そこからさらに踏み込んで言うならば、同じI-SONICでも年度ごとに大きな違いがあるし、FUTURAも同様。実際、I-SONICはノーズボリュームがとても少ないデザインだった年もあれば、何となくマイルドにノーズボリュームが加算された年もあり、またFUTURAも「これならタックも安心だね」の年もあれば、速さに比重を傾けて「I-SONIC並にノーズボリューム少なくなったんじゃない?」の年もある。なので質問者がもし年度違いのモデルの中でI-SONICとFUTURAを検討しているとするなら(例えば2015年式のI-SONICと最新モデルのFUTURAを比較検討するなどなら)、年度ごとのデザインの違いも検討材料になるでしょう。

さらに、もしI-SONICを選ぶとしたらの注意点。以前は7.8あたりの定番だった117リッターが無くなり、「123か113か」の選択になるなどモデルが一新された今期、そのボリューム表記を鵜呑みにしない方がいいと巷で囁かれています。例えば今期の123リッターは、旧モデルの117に近い浮力だとか、113リッターは見た目も実際に乗った体感的にも旧モデルで言えば97と同じくらいじゃないのか、など。その是非について問題提起するものではありませんが、こうした話を耳にすると「やっぱり実物を自分の目で見て、できれば実際に乗ってみて判断するのがベストだなぁ」。例えるなら、Lサイズのシャツが欲しいとして、お店で実際に袖を通してみればそれが想像通りのサイズなのか一目瞭然だけど、ネットショッピングでサイズだけを頼りに購入したら、届いて袖を通してみたらパツパツに小さかった、なんてのに似てるかもしれません。なのでカタログ表記からだけで判断するのではなく、ネットなどで情報をなるべく収集した上で最終判断を、出来ることなら実際に自分の目で見て判断してね、と言うこと。もちろん当ホームページもまたその中のひとつのヒントにしか過ぎないので、最終判断を急がずに熟考し、そして自分に最高の板を見つけ出してください。