セイルサイズの再構築

QH.Yさんからの質問

現在、弱風では135リッターに8.6と7.3。中風では115リッターに7.3と6.0。強風では95と84リッターに5.3と4.7で週末のウインドを楽しんでます。ところが先日8.6を壊してしまい、修理するか悩んだ末、新しいセイルを購入しようと決めました。そこで、同じ8.6を購入すべきか悩んでいます。実際にアンダーのプレーニング率を高めようと手にした8.6でしたが、実状はアンダーすぎて走らなかったり、と思えばすぐにオーバーになったりで、あまり活躍の場が無かったから。そこで、7.3と6.0の隙間を埋めるべく6.6くらいはどうか?とも思い、またいっそ微風対応で9.0あたりはどうか?とか、悩みの迷路に迷い込んでしまいました。

A質問者が湘南、相模湾側をホームゲレンデにしていること、またファンスラロームを楽しみの主体に置いていることを前提に考えてみましょう。

ホームゲレンデは、私が主とする逗子とも吹く風が共通するエリア。この、江ノ島から鎌倉、逗子、葉山までの風の特徴は、「吹かない時は吹かず」「吹き上がるときは中途半端を通り越して吹き上がる」。このような各ゲレンデごとの風の特徴が、手にするセイルサイズの選び方に大きく影響することは言うまでもありません。

ホームゲレンデの現状なども踏まえて色々と考える前に、まずはスラローム的セイルサイズの基本に関して抑えておきましょう。それは7.8(メーカーによって7.9だったり7.7だったり)を絶対に外さないという原則。なぜならそのサイズは、スラロームを戦う人にとっても、プライベートで楽しむ人にとっても、また体格も性別も関係なく、また人種も国籍も関係なく、絶対に手にすべき定番サイズだから。そよそよ吹き始めたらプレーニングできて、そこそこ吹き上がっても乗りこなせる最も高性能な(使用風域が最も広く使い勝手最高な)のが7.8。そのサイズが高性能だとする理由は、他のサイズは持つ人と持たない人がいるけど、7.8だけはスラロームを楽しむ人すべてが(全世界的に)持つサイズだから。だからこそ各メーカーとも気合い充満で作るサイズで、ゆえに必然、性能も突出するからです。それは昔話で言うならレースボードの7.5のようなもので、これさえあればスラロームのおおよそ半分はカバーできるだろうサイズだとも言い切れます。

対して7.3は(もちろんメーカーや各セイルごとに違いますが)、7.8がオーバーになったらほぼ時を同じくしてオーバーになり、それでいてアンダーは7.8に大きく劣るという中途半端なサイズ。「0.5m2の違いがあるんだからそんなはず無いでしょ」と思うかもしれませんが、実際に同一コンディションで使ってみれば誰にでもすぐわかります。そもそも7.3は、すべてのスラローム的指向の人にとって定番である7.8に対して、技量的であったり体格的であったりで尻込みする人の「逃げ道」サイズと考えて的外れではないことが。しかし実際には、この逃げ道に救いを求めている人が少なくないことも事実で、その恩恵を受けている人が多いことも事実ですが。

次に、地域色を考慮した上で理想的セイルサイズを考えてみましょう。まず真っ先に確定すべきは7.8。7.3は前記したようにその存在価値が希薄なので体格や性別に関係なく必要外で、代わりに7.8がオーバーになったところで出番となるのは6.8あたり。それがオーバーになったら、もう5.8で十分。そしてさらに吹き上がったらその下のサイズ、となります。

質問者の手持ちボードを加味して考えるなら、理想としては、弱風では7.8と135リッター。普通にプレーニングできるようになったら7.8と115リッター。白波が見えはじめて7.8ではオーバーかな?と思ったら6.8と115リッター。さらに吹き上がったら手持ちの6.0と115リッター(平水面の場合)、そして波立ち始めたなら6.0と95リッター。で、さらに吹いてウェイブコンディションになったら95リッターに5.3、また84リッターに4.7。質問者の体格や、年齢に伴う体力的な要素が不明なので確定的ではありませんが、常識且つ一般的に考えるならそうなるでしょう。

と言うことは、理想論としては、壊れた8.6に加えて7.3も捨てて、7.8と6.8あたりを手にする、ということになります。しかし実状として一度に2枚購入は現実的に難しいでしょう。だからと7.3に固執しすぎると理想セイルサイズから遠ざかってしまうので、私的な意見としては、今回はまず無視できない7.8サイズの検討をお勧めします(たぶんその結果、7.3はほとんど出番を失いますが)。そして次の段階として、出番の無い7.3をやめて6.8を検討。そこまで進めば湘南チョイスの完成です。

特にここ2年ほどの湘南地区は、それまでの(前記した)吹き始めたら中途半端無しに一気に吹き上がるという傾向から、6.8がちょうど良いくらいの風速で一度足踏みすることが多くなりました。昔のパターンなら7.8と115リッター、それがオーバーになったらもう6.0で十分に走れてしまう、という流れが当たり前でしたが、今はその中間で風速が安定することが多くなり、そこで活躍するのが6.8あたりだということです。

まとめましょう。あまり活躍の場が無かった8.6を失い次にどうすべきか悩む質問者がまず手にすべきは7.8。それによって手持ちの7.3が不必要になるので、次に考慮すべきは7.3から6.8へのチェンジ。その後、さらに余裕があるとするなら、よりアンダーで楽しめるだろう8.3あたりへ目を向ける。なぜなら8.3あたりのサイズは、7.8が走り出せなくても135リッターという手持ちボードへの搭載することを考えればよりアンダーでプレーニングが楽しめることが大いに期待できるから。8.6ならすぐにオーバーになるだろう場面でも8.3なら大丈夫で、しかし7.8より確実にアンダー性能が高く、さらに9.0あたりはあまりにアンダーに突出しすぎて出番が少ないのに対して8.3はホームゲレンデ的状況を考えて出番が多いはずだから。たぶん夏場のサーマルが吹き上がる前の午前中から昼直後にかけて、またサーマルが想定外に吹き上がらなかった日(多分その日は気温が高すぎて)の午後も遅くから夕方にかけて、湘南ではそのサイズは最後の砦としてとても有効だと確信するからです。